LENS / OPTICS

レンズのしくみ

動かして確かめる

01 / INTERACTIVE / THIN LENS

動くレンズ群が固定センサーへ像を合わせる

薄レンズの光線図上端:赤・実線下端:青・破線
薄レンズの光線図人物または山の上端から出る赤い光と下端から出る青い光が、内蔵絞りで制限され、可動レンズ群で屈折して上下を交差し、被写体ごとの倒立した結像点へ集まる様子と、固定センサーが収束途中または交差後の光束を受ける様子を示す光線図FF反射光が広がるレンズ群で屈折被写体ごとの結像点可動レンズ群固定センサー結像点固定センサー像の可視化同じ視線上に並ぶ人物と山を、それぞれが固定センサー上につくる錯乱円径でぼかし、人物を暖白の輪郭で示した上下左右反転のセンサー像固定センサー像の可視化36 × 24 mm上下反転ピント操作:レンズ群が前後に動く(図中は強調)
ピントを合わせる

ピンホールとの違いを比べるための薄レンズモデルです。撮像面であるセンサーは固定され、ピント距離に合わせてレンズ群が前後に動きます。物体の一点から広がった光は被写体ごとの結像点へ集まり、その点がセンサーの前後にずれると、センサー上では幅を持つ錯乱円となってぼけます。

いま起きていること人の錯乱円径は 0.000 mm。結像点がセンサーと一致:合焦。人物上端の赤い光は像の下へ、下端の青い光は像の上へ集まり、上下が反転します。 図中のレンズ移動、結像点のずれ、投影ぼけは違いを読み取れるよう拡大しています。数値は薄レンズ式による計算値です。
0.000 mm0.225 mm
センサーは固定
固定
レンズ群から固定センサー
50.63 mm · +0.63 mm
有効口径
17.9 mm
選択中の錯乱円径
人 · 合焦 · 結像点がセンサーと一致:合焦
人物と山の間隔は圧縮し、センサー像では同じ視線上に重ねて前後関係を示す模式図です。センサーは固定し、ピント操作ではレンズ群を前後へ動かします。焦点距離の操作は、等価レンズの曲率と屈折力の変化として模式表示し、長くすると両者の像が拡大しますが、カメラ位置が同じなら遠近関係そのものは変わりません。絞りはレンズ群の内側にあり、F1.4を全開として通過光束を制限します。被写体ごとの結像点と、固定センサー上の錯乱円径は薄レンズ式で計算しています。画面のぼけは錯乱円径をガウスぼけへ換算したもので、実際の複合レンズ構成、収差、回折は再現しません。 許容径 0.03 mm レンズのしくみ:キヤノンサイエンスラボ・キッズ · カメラとピントのしくみ:キヤノンサイエンスラボ・キッズ · 薄レンズ式と被写界深度の参照:MIT Computational Photography

レンズは、広がってきた光を屈折させて一点へ集めます。ピンホールが「通れる方向を絞る」のに対し、レンズは「光を曲げて集める」。この違いが、明るさ、ピント、ぼけのすべてを決めています。焦点距離、F値、ピント距離を実際に動かしながら、像がどう変わるかを確かめられるページです。

焦点距離、F値、ピント距離、人物までの距離を自由に組み合わせられます。光線図では、人物の上端から出た赤い光と下端から出た青い光が同じレンズを通り、上下が入れ替わって結像点へ集まります。ピントを外すと、光束が撮像面の手前で交差して再び広がる様子、あるいはまだ集まりきっていない様子が見えます。

レンズのしくみの3D解説

4:46 · 音声なし

反射した光がレンズで屈折し、像をつくる過程を3Dでたどります。木と山へのピント合わせ、絞り、焦点距離、イメージサークルとセンサーの関係を示し、最後に太陽光のピンホール投影を比べます。

音声のない動画です。映像の動きと内容は、以下の文章でも確認できます。 本文の解説を読む

動画の内容を文章で読む

木の表面の一点に光が当たり、そこからさまざまな方向へ反射します。そのうちレンズに届く光が屈折して集まります。木の各点から来る光がそれぞれ小さな点の像をつくり、それらが集まってセンサーに倒立した木の像が現れます。

木にピントが合っていると、木の一点からの光はセンサー面で集まります。遠くの山からの光はセンサーより手前で交差し、その後に広がって届くため、山の像がぼけます。図は木と山の結像位置とセンサー面を分けて示します。

センサーを固定したままレンズを動かし、山の結像位置をセンサーに合わせます。今度は山が鮮明になり、木からの光は集まりきる前にセンサーへ届くため、木の一点が大きな丸になります。ピント合わせによって、どの距離のものが鮮明になるかが入れ替わります。

木と山の光を分けて表示し、絞りを狭めます。通過する光束が細くなると、ピントの合わない一点がセンサー上につくる丸も小さくなります。絞りは理想的な結像位置を動かすのではなく、通る光の範囲を変えます。

焦点距離の場面では、模式的なレンズの曲面を変えて、光の曲がり方、像の大きさ、写る範囲の変化を示します。曲面のふくらみが小さくなると光を曲げる力が弱まり、焦点距離が長くなります。これは光学的な関係を表す図で、実際のズームレンズのガラスが変形するという意味ではありません。

木の各点から広がる光のうち、開口へ向かった光だけがレンズへ入る様子を、立体的に視点を変えて示します。像全体を写せる円形の範囲がイメージサークルです。円の外側へ同じように像が届くわけではありません。この円全体の範囲は、一点のぼけを表す錯乱円とは別のものです。

イメージサークルの上に長方形のセンサー枠を重ね、その内側だけを写真として記録する様子を示します。枠を大きくして円の外へ出すと、隅が暗くなります。光路、レンズの移動、結像位置やぼけなどは関係を見やすくした模式表現で、実機の構造や寸法そのものではありません。

最後はレンズからピンホールへ戻り、太陽の光が小さな穴を直進して箱の内面を照らす様子を示します。太陽の方向が変わると光の当たる位置や面も変わります。観察するのは箱の中に映った光です。太陽を直接見たり、穴を通してのぞいたりしないでください。

02 / CONVERGENCE

レンズは光を集めている

物体の一点からは、あらゆる方向へ光が広がっていきます。この広がった光のうち、レンズに届いた分だけが屈折し、向きを変えて再び一点へ集まります。この集まる点が結像点です。

ピンホールは光を曲げません。小さな穴が、通り抜けられる方向を制限することで像をつくります。集めるのではなく、絞るのです。だからピンホールは暗く、レンズは明るい。同じ「像ができる」でも、成り立ちが根本的に違います。

レンズを通った光が一点へ集まるのは、決まった条件を満たしたときだけです。その条件から外れると、光は一点に集まりきらず、面の上で幅を持ちます。この幅が、私たちが「ぼけ」と呼んでいるものです。

03 / FOCAL LENGTH

焦点距離とは何か

無限遠から来る光、つまりほぼ平行に届く光をレンズに通すと、後ろ側の一点に集まります。レンズからその点までの距離が焦点距離です。50mmのレンズなら、平行光は50mm後ろで一点になります。

焦点距離が長いほど、同じ被写体でも像は大きくなります。望遠レンズが遠くのものを大きく写せるのはこのためです。ただし注意が必要なのは、焦点距離を変えても遠近の関係そのものは変わらないことです。カメラの位置が同じなら、手前と奥の見え方の比率は同じまま、切り取る範囲だけが変わります。

焦点距離は、レンズの屈折力の強さと言い換えることもできます。短い焦点距離は強く曲げ、長い焦点距離はゆるやかに曲げます。

04 / APERTURE

F値と絞り

F値は、焦点距離を有効口径で割った値です。f/2.8なら、有効口径は焦点距離の2.8分の1。数字が小さいほど口径が大きく、通る光の量が多くなります。

同じF値なら、焦点距離が変わっても像面の明るさはほぼ同じになります。F値が焦点距離と口径の比で決められているのは、このためです。露出を決めるときに便利な数字として設計されています。

絞りを絞る、つまりF値を大きくすると、レンズを通る光束が細くなります。細い光束は、結像点からずれた面の上でも狭い範囲にしか広がりません。絞るとピントの合う範囲が広がって見えるのは、この幾何学的な理由によります。

05 / FOCUS

ピントと錯乱円

被写体までの距離が変わると、結像点の位置も変わります。近いものほど結像点は後ろへ下がります。センサーやフィルムの位置は固定されているので、そのままでは結像点とずれてしまいます。

ピントを合わせるとは、この結像点を撮像面へ一致させる操作です。一般的なカメラでは、センサーを動かすのではなく、レンズ群を前後に動かして調整します。この模型でも、センサーは固定したままレンズ群が動きます。

結像点が撮像面からずれていると、そこに届く光束はまだ一点に集まりきっていないか、いったん集まってから再び広がっています。どちらの場合も、撮像面の上では円形の広がりになります。これが錯乱円です。錯乱円が小さいほど、その被写体はシャープに見えます。

06 / DEPTH OF FIELD

被写界深度はなぜ変わるのか

厳密に結像点が撮像面と一致するのは、ある一つの距離だけです。しかし錯乱円が十分に小さければ、人の目にはシャープに見えます。この「シャープに見える」と判断できる範囲が被写界深度です。

被写界深度は、絞り、焦点距離、被写体までの距離、そして許容する錯乱円の大きさで決まります。絞るほど、焦点距離が短いほど、被写体が遠いほど、範囲は広がります。逆に開けるほど、焦点距離が長いほど、被写体が近いほど、範囲は狭くなります。

つまり被写界深度は、レンズに固有の性質ではなく、条件の組み合わせによって決まる結果です。冒頭の模型で4つの条件を動かすと、選んだ被写体の錯乱円径がその場で変わります。

07 / VS PINHOLE

ピンホールとの違い

ピンホールカメラには、レンズが持つ意味での「ピント」がありません。穴を通った光は曲がらず直進するので、近いものも遠いものも同じように投影されます。被写界深度という考え方が要らないのです。

そのかわり、穴の大きさそのものが像の甘さを決めます。穴が大きければ一点から出た光は像面で広い範囲に届き、隣り合う点と重なってぼけます。小さくすれば締まりますが、光量が減って露出時間が長くなり、小さくし過ぎると回折で再び甘くなります。

レンズは「集めることで明るく鮮明にする」方向へ、ピンホールは「絞ることで成立させる」方向へ進んだ装置です。どちらが優れているかではなく、像ができる条件の設定が違います。

THE MOST BEAUTIFUL LIGHT NEXT TO THE DARKの撮影に用いた装置
THE MOST BEAUTIFUL LIGHT NEXT TO THE DARK カメラ軽量型 / 2014

08 / REFERENCES

参照資料

あわせて読む