01 / DEFINITION
「暗い部屋」という名前のとおり
camera はラテン語で部屋、obscura は暗いという意味です。もともとは装置の名前ではなく、状態の説明でした。人が中に入れるほど大きな暗室だった時代の名残が、現代の camera という語には残っています。
小孔だけを使う型に必要なものは三つです。外の光を遮った空間、小さな穴、そして像を受ける面。穴を通った光は直進するので、景色の上から来た光は壁の下へ、下から来た光は上へ届きます。結果として、像は上下左右が反転します。
穴のかわりにレンズを使うこともあります。16世紀の中頃から末にかけて、より明るく鮮明な像を得るために孔口へレンズや鏡が加えられ、小孔だけの暗室から光学的なカメラ・オブスキュラへ発展しました。
02 / COMPARISON
ピンホールカメラとの違いと共通点
カメラ・オブスキュラは、暗い部屋や箱の内側に外の景色を投影する装置です。小さな穴を使う型と、レンズを使う型があります。
ピンホールカメラは、レンズの代わりに小さな穴で像を結ぶカメラです。手で持てる箱にも、部屋ほどの装置にもでき、感光面を置くことで像を記録できます。
レンズを使わないカメラ・オブスキュラとピンホールカメラは、小さな穴を通る光の直進によって像をつくる原理を共有します。レンズ式では屈折を利用して像を結ぶため、大きさだけで両者を区別することはできません。

03 / HISTORY
写真より2000年以上前から知られていた
この現象の記述は非常に古く、『墨子』に含まれる後期墨家の光学的記述は紀元前4〜3世紀ごろ、光が小さな穴のところで交差して人の像が上下逆になる仕組みを述べたものと解釈されています。
11世紀初頭にはイブン・アル=ハイサムが暗い空間の小孔による像の形成を記述し、1508〜1509年ごろにはレオナルド・ダ・ヴィンチが手稿へ観察を記しました。1544年にはゲンマ・フリシウスが日食を暗室へ投影して観察し、その方法を翌年の著書に図示しています。
17〜18世紀には、部屋そのものだったカメラ・オブスキュラがテント、駕籠型、箱型、携帯型へと小さくなりました。画家や製図家は投影像を写し取る補助具として使っています。そして1826〜1827年ごろ、ニセフォール・ニエプスがカメラ・オブスキュラと瀝青を塗った金属板を用い、投影像を消えない像として残しました。これが写真の始まりです。
04 / WORKS
空間そのものを装置に変える
岡本明才は2006年から、ピンホールカメラとカメラ・オブスキュラを用いて作品を制作しています。軽トラックの荷台、部屋、5m四方の空間、建物の既存開口部などを撮影装置へ変えてきました。
空間をカメラ・オブスキュラにすると、撮る人はその像の内側に立つことになります。外の景色が壁に降りてきて、自分もその中にいる。写真を見るのとは違う経験がそこにあります。
